2008/12/02 国際文化情報学会

2008年12月2日 法政大学市ヶ谷校舎

 12月2日に開催された国際文化情報学会は稲垣ゼミの後半最大のイベントだった。論文、ポスター、インスタレーション、パフォーマンスの4部門で構成されたこの学会は、学部生、院生、教授も含めて多くの個人団体が参加し、特に学部生にとってはアカデミックな場で発表する数少ない貴重な時間になった。内容も様々で、核問題や国家権力から盲導犬、トイレを使ったインスタレーションまで、幅広い分野の発表はボアソナードタワーに集結した。中にはこの学会を起点にプロジェクトを続けている団体もあり、そういった意味でも重要な機会であった。稲垣ゼミでは4つのチームに分かれ、夏休み明けから準備を始めた。最初は十分な時間があるように思われたが、プロットを練ったり制作方法を考えたりするのにそれぞれとても苦労したので、夜遅くまで残って作業し時間ぎりぎりで仕上がることとなった。
 論文部門は2チームある。飯島、清水、星野のチームは『ファッションブランドNe-netの解剖』と題し、日本のブランドNe-netがなぜ新鮮に感じられるのか、今後どのような成長を見せるのかということを論考した。他のブランドや東京コレクション、ストリートファッションといったNe-netを取り巻くもの、さらにアンケートによる消費の動向と照らしあわせることでNe-netの特徴を示すことができた。当初はファッション業界全体についての発表を考えていたが、先生からそれでは広すぎるとのアドバイスを受けて少しずつ範囲を狭めていき、最終的に1つのブランドに行き着いた。それでも、調査を進めるなかで日本の消費者の特徴や東京コレクションの問題などが浮き彫りになり、結果として丁度よい範囲の内容になったといえる。

高橋、照井、吉成チーム

 もう1つは高橋、照井、吉成チームの『人と人を結ぶアート』だ。夏休みにあったタイ合宿での先生のプロジェクトについての発表だ。タイの北部チェンマイにあるドイサケットマーケットという市場で、そこで生活を営んでいる人々にインタビューし、市場内にミュージアムをつくって展示するというものだ。この合宿でゼミ生は先生の手伝いをした。高橋、照井、吉成チームはこのときの記録をもとにプロジェクトの全容を発表するとともに、そのテーマである人と人とのコミュニケーションにおけるアートの役割について言及した。パワーポインターを効果的に使い、市場の様子やプロジェクトの雰囲気をうまく伝えた。
 梅垣、田中、山田、永田チームはポスターでの発表を行った。『大きくなったら何になりたい?-ぼくの夢、わたしの夢-』と題し、小学生の子供を対象に将来の夢についてインタビューと写真撮影をし、地域や年齢といった異なった背景のなかでどのような違いが生じるのかを明らかにするとともに、子供同士でお互いの夢を知り合ってネットワークを広げていくコミュニケーションの場の生成を目指した。このチームの一番の課題は子供のデータ集めだった。子供を標的にした犯罪が目立つ昨今、肖像権の規制が厳しくなり写真撮影の親の了解がなかなか得られなかったのだ。それでもメンバーの親戚や知り合いを中心に、東京、神奈川、茨城県の利根町と守谷市、そしてゼミ合宿を利用してタイのチェンマイの子供たちにもインタビューすることができ、幅広いデータ収集に成功した。パネル展示もきれいで、雰囲気ある会場だった。
梅垣、田中、山田、永田チーム

 最後に、ポップアップ絵本のインスタレーションを行ったのは片寄、服部、宮内、大橋チームだ。このチームは不思議の国のアリスのポップアップ絵本(飛び出す絵本)をもとに、その巨大版を作製した。しかし4チームで唯一の制作、しかも巨大ポップアップ絵本だ。準備にかかる時間は半端ではない。その意味ではこのチームが一番大変だったといえよう。テーブルや木などがうまく立つように試行錯誤したり、飾り付けを推敲したりと、その巨大さゆえに苦労も大きかった。だが、そこは稲垣ゼミ切っての創作メンバーたち、センスを発揮して数々の難題をクリアした。支えの部分をうまくつくって紙が倒れないようにし、アリスが薬を飲んで小さくなるところなどはマトリョーシカのようにだんだん小さくする手法で臨場感を出した。完成した作品はとても完成度の高いものであった。
学会当日は4チームとも好評を博し、結果として、Ne-netと絵本のチームがそれぞれの部門で最優秀賞を獲得することができた。4チームとも苦難を乗り越えて発表に到達することができ、とてもいい経験になったのではないだろうか。


片寄、服部、宮内、大橋チーム


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