2007年7月5日-7月11日 外濠校舎1Fメディアラウンジ
2007年 ボアソナードタワー6階の一角で、 重要な会議が催されていた。 「タイトルはどうしようか」 「7の隣・・・」 「まんまじゃん!でもいいか」(いつものノリ) 「7の隣徒歩0分」 「まんまじゃん!でも!いい!!」(いつものノリ) こうして稲垣ゼミ、ネーミング女王服部の歴史と共に「外濠の家」の幕が開いたのである。「外濠の家」は、私達にとって記念すべき第一回展示会である。 それまで自主制作をほとんど経験したことのない私たちにとって、本当にできるのだろうかという不安ばかりであったことを覚えている。一体どんなものを作ればいいのか、どうやって?何を使えば?材料は?何も解からないままスタートした制作は、「とにかくやってみる」という先生の掛け声のもと動き始めたのだ。
制作
外濠の一室を借り切って、それぞれの作業が行われた。今回のテーマはタイトルに書かれているように「家」である。 一人ひとりがイメージする「家」とは同一ではない。私達は、それぞれが想像する家をパブリックとプライベートを模索しながら、自分の「家」を作り上げた。私のタイムスリップハウスを初め、植村の映像に斉藤のポスター、川崎の人形や田村の家の模型、梅田の風景写真に佐藤の絵、宮内の白い薔薇は花の一片一片、紙を重ねて作っていて、彼女の手の器用さが窺える。梅垣のポスターには家のドアが彩られていた。彼女はイギリスに留学中、「家の扉が可愛い」と言って撮りためていたのだそうだ。
梅垣作品
山田は、トイレと自分の歴史を刻んだトイレットペーパーを制作していた。そう言えば家にトイレは不可欠だが、それにしても発想が山田らしい。片寄の作品は完成度の高いムーミンの家は、周りの花まで再現されていた。彼女が作品をお披露目した時、皆が感嘆の声を上げた。
山田作品
それぞれ私には全く思いつかなかったアイディアだ。それを見た時、人の発想の相違に面白さを感じ、また作品造りの意味を垣間見たような気がしたのだ。しかし作品が出来るまでがそれぞれ大変だったに違いない。誰もが物を形にするということに慣れていなかったこともあり、皆どうしても技術力が追いつかず、作業が思うように進まなかったのだ。カッターの使い方も儘ならず、上手く形にするのに何度も失敗した。自分のできる範囲で作ると言ってもその範囲があまりに狭すぎて、笑えないくらいに手が進まなかった。展示初日にも作品に没頭し、一日目は作りながらの展示になってしまったのだが、それでも初の自作展示という試みに四苦八苦し、先生に助けてもらいながらそれぞれ懸命取り組み、外濠の家は完成するに至ったのである。
服部作品
ゼミ・ノート
展示品の一つに私達が半年間書き綴った「ゼミ・ノート」というものがある。ゼミが始まった当初、先生が、「このノートに毎日でなくてもいいからかいてください」と言った。っと言われてしまえば、このゼミのメンバーなんでも描きますと言わんばかりにバラエティーにとんでいた。似顔絵、授業のメモ、美術館で見た作品の模写、何度も悩んだこの展示会全体の構成やスケジュール。ただの落書きさえ、私達の半年間を思い出す貴重な記録集となっている。これが何か役に立つのかと言われれば、こう答えよう。「役に立つ!」と。梅垣のノートには山田が変な言葉を発するたびに迷言集が書き綴られていた。これは後に、梅垣、山田、田中で制作するデジタルコンテンツ作品のアイディアともなっている。そうなのだ。何気なくゼミ・ノートに書いてきたものだが、正しくノートの中身はアイディアの宝庫となっていたのだ。また、形として残すことで、そこに確かに存在したモノに価値を与えることができるのではないだろうか。
ゼミノートの展示
ダンボールについて 「稲垣ゼミ=ダンボール」の歴史がこの時始まったと言っても過言ではないだろう。 ダンボールはモノを収納するだけにあらず、と私達は稲垣先生に教えられたのだ。大元の家を作るに当って、私達は大量のダンボールを組み立て、家へと変化させた。先生の発案なのだが、初め完成形を見た時、「本当に家だ!」と驚いてしまった。それだけではなく、テーブルにもダンボールを使用。これほど多種多様な顔を持っているものは中々ないのではないだろうか。一度味を占めた私達はこの後何度となく、ダンボールに、お世話になり、出番を今かと待ち続けている彼らが先生の研究所で眠っているのである。最後は皆で仕上げに取り掛かる。 家の終焉である。 誰かがダンボールハウスに飛び掛かる。それまで一部の隙間なく積み上げられていたダンボールが音を立てて崩れていった。崩れたダンボールに埋まる人間、その上にさらにダンボールを崩す人間。展示期間は短い時間ではあったけれど、自分たちの胸に達成感を抱きながら、笑いあった。怒涛のように過ぎた初めての展示会はこれにて終了したのである。
宮内作品
田中作品


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