2007年10月19日(金)〆切
デジコン2007入選作品『Colored』服部祥子
「デジタルコンテンツコンテストに、全員で作品を応募してみましょう。」先生のこの提案に対して、ひとりひとり意見を聞かれた時、「私は、やりたくありません。」とキッパリ言ったのを、今でもよく覚えている。私は、とにかくメカ音痴で、「パソコン」そのものが大の苦手だった。国際文化学部は情報系の授業が多いというのにもかかわらず、私は大学に入るまでほとんどパソコンに触れて来なかったアナログ人間だったので、使い方がよくわからずに、いつもヒヤヒヤしながら授業を受けてきたのだ。なので、いつの間にか「パソコン」が私にとってかなりのコンプレックスになっていたのだった。しかしまぁ、私の訴えもむなしくいつの間にかデジコンには全員参加の流れとなっていた。
デジタルコンテンツコンテストとは、法政大学の学部生、院生、通信教育生を対象として行われる、デジタル技術を駆使して、自分のセンスやアイデア、メッセージを視覚的に「表現」する作品のコンテストで、静止画部門、動画部門、インタラクティブ部門に分かれている。評価は、企画力・表現力・技術力を基準とし、基準ごとの評価をつけ、その総合点で判断される。うーん...とにかくなんか難しそう、私には無理そう...。そう後ろ向きに思いつつも、とりあえず私は、一番どうにかなりそうな静止画部門で作品を作ってみることにした。我がゼミでは、宮内、斎藤、田村、服部が静止画部門、片寄、梅田、梅垣&田中&山田チームが動画部門で作品を制作することになった。とりあえず、一年生の時ぶりにフォトショップやイラストレーターを開いてみる。使ってみないことには、どうにもならない。やりたくないとか言いながらもビビリなので、事前に植物や景色、動物など、素材の撮影をして、一応材料は集めておいた私。一番シンプルな方法として、写真に色を付けるという手法を知った私は、とりあえずその戦法でやってみることにした。特にこれといった工夫をするでもなかったが(そのような余裕はなかったので...)、まずはとにかくいろいろ好きな色に塗ってみて、塗りの基本の作業に慣れながら、アイデアを膨らましてみることに。最終的に、サボテンのような花を画面いっぱいに撮影したものを虹色に塗った作品を提出。一気に塗ったので人差し指が痛くなったが、色の濃度の変化や塗りの修正が自由に出来、デジタルの便利さを痛感した。
さて他のみんなはと言うと、宮内は、同じく始めてちゃんとまともに使うというイラレを、いろいろ自由にいじってみて試行錯誤。その結果、絵の具で描いた手描きのピエロの絵をパソコンに取り込み、それをイラレで加工することに。なかなか思い通りにいかず苦労したという。「ベースこそ手描きだったが、イラレを使ったことで、やはり手では表現できないグラフィックデザインならではの魅力を再確認し、楽しかった。」(宮内)
デジコン2007入選作品『ピエロ』宮内友梨奈
作品のその大胆さに、彼女らしさが現れていると思う。一方動画部門では、片寄が渾身のクレイアニメ「そふとクリーム」を制作。ゼミの活動中には、その様子は一切見ることができなかったが、締め切り日が近づくほどに明らかにやつれていく彼女、...わかりやすい(笑)。短期集中で作ったせいもあり、途中発狂しそうなほど大変だったと本人は語る。先生のアドバイスから、クレイアニメに挑戦することにした彼女。「相当大変な作業になるとは聞いていたが、固まらない粘土を扱うということが最も苦労した点。変形しやすいことや、汚れがつきやすいことでかなり悩まされた。背景になるセットに特にこだわり、奥行きのある空間を意識して制作した。撮影は大変だったが、パソコンに取り込んだ1コマ1コマが動き出した時に全てが報われたと思った。まさに、命を吹き込む作業だった。」(片寄) 彼女の作品へのこだわり、思いは、その作品を見れば感じ取ることができるだろう。そして梅垣・田中・山田チームは、我がゼミのアイドル山田を駆使して、アバンギャルドな動画「やまだ」を制作。彼女の異常な発言を形に残すために作られたという、完全なるオリジナルワールド。3人とも、フォトショやムービーメーカーなど、慣れないパソコンの扱いに苦労したという。「スキャンした絵と写真の合成を担当したが、コピースタンプを使って背景を直したりするのが大変だった。」(田中) 「真顔ができず、ついつい妙なはにかみ笑いをしてしまい撮影が大変だった。体を張った。」(山田) 「現代の現実社会と仮想世界の境界線のあいまいさを暗示させるデジタルとアナログの融合をテーマに制作した。」(梅垣) ギャグを取り入れた斬新な作品を送り込み、法政に新たなアートの風をもたらすべく殴りこもう!という大胆な発想のもとに作られたこの作品、う○こも含め、彼女たちの熱い思いがぎっしり詰まっているのである。...そんなこんなで、それぞれ、慣れないながらも手探りで徐々に作業を進めていき、ほぼ全員締め切り日ギリギリで、作品を無事提出したのだった。
やってみてわかったことは、とにかく、じっくりじっくりただアイデアを考えるよりも、作業を進めてみることが重要だということだ。やってみてからさらにアイデアが生まれることもあるし、やってみないことには自分のイメージが上手く作品になるかどうかもわからない。習うより慣れろ!いや、私はまず先生に習うより他なかったので、習って慣れろで作業に取り組んだ。そもそも、やりたくないと拒んでいたパソコンでの作業に手を出し、試行錯誤してみたこと自体に、大きな意味があったと思う。この作業をすることで、今まで持っていたパソコンへのコンプレックスがだいぶ消えていった気がする。そしてなんともラッキーなことに、私の作品と宮内の作品は入賞することができた。私にとってみれば棚からぼたもち...くらいの出来事だったが、これをきっかけに自信がついたし、前向きに創作活動ができるようになったと思う。その後小金井校舎の図書館の年間カレンダーに私の作品が使われることになったりして、とてもうれしかった。あの時にただ味をしめただけかも知れないが(笑)、それにしてもこの時の経験は、確実に今の自分につながっていると思う。皆も、ここでの制作を経験した分、そのスキルは確実に上がり、パソコンを使って制作をするということへの抵抗がなくなり、むしろ前向きに取り組めるようになったのでは、と思う。「私はやりたくない。」とキッパリ言ったはずの私が、今となってはこの調子なのだから、人生、何が起こるかわからないものである。何事も挑戦が大切。初めてのデジコンへの参加を通して、ここまで悟ってしまった服部なのであった。


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