2008年7月16日
会場までの道のり
そしてその足で日本最大規模の劇団として知られる、劇団四季の「ライオンキング」を観にいった。私達ゼミ生は、四季株式会社様の専務にあたる田中浩一氏を始め社員の方々が場所を設けて下さり、公演が始まる一足先に貴重なお話を聞かせて頂くことが出来た。田中氏がおっしゃるには、劇団四季の考えとして演劇においての重要なことは「日本語で綴られた物語を届ける」ということであった。また、演劇は文学が立体化した芸術である、立体化とはつまり作者が描いたことを出来る限り全て届け、その場を観客と一緒に共有することだと考えている、ともおっしゃられていた。
例えば外国で先に上演されているものを日本で上演する場合、台詞の翻訳が重要となってきます。そのまま訳するのではなく、日本人がより理解できるような訳を心がけるために文学的にも何を捨てて何を残すかが非常に大事になってくるので時にはクリエイターの方と衝突することさえもあるそうだ。
具体的なものでは、米では国民的に知られる「オズの魔法使い」の裏話として構成され、西の悪い魔女・エルファバと北の良い魔女・グリンダの知られざる友情を描いている「Wicked」がある。元はブロードウェイで上演されていた作品だったが、日本で上演することとなり、台詞や進行に変更が必要な部分があったようだ。何故なら日本人にとって「オズの魔法使い」は当たり前に誰もが知っている物語とは言い難く、そのまま上演してしまったのでは話に入り込みにくいのではないかと考えたからだ。日本人が理解しやすく、かつ感動できることを第一に考えて、時には台詞や振り付けを変えて舞台を創っていくことが出来るのは、劇団四季の演劇の特色だと観客の側から見ていても感じていた。また面白いことには「ライオンキング」では上演する場所によって主人公シンバの相棒ティモンとプンバァの掛け合いの台詞を地方の方言にアレンジしたりもするそうだ。そのような細やかな配慮が作品を更に面白くさせ、きっと観客を魅了していくのだろう。
田中浩一氏ののレクチャーを受ける
言葉を明確に伝えるために母音をはっきりと発音する発声練習の方法や歌の詩を曲に合わせる難しさなど、演技に対する様々な工夫についても教えて頂けたのでその後すぐに観た「ライオンキング」は格別だった。私自身、四季さんの舞台を観る事は決して少なくないのだが、同じストーリーを何度観ても初めてのときと同じような高揚感があるのは不思議で堪らなかったのだが、今回のことでそれが分かった気がする。そんな魔法にかけられた時間を創り出し、尚且つ観客をそこに引き込んでくれる演劇が劇団四季には確かにあると感じることができた。


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