2007/05/16 マルレーネ・デュマス

  • 2007年5月16日 東京都現代美術館

DSCN1046.jpg

京都現代美術館に向かって歩いている

 彼女の大作のポートレートを中心とした大規模な回顧展は、その作品の多さで観る側を圧倒させる。私は初めてデュマスの作品を観たが、どこか不可解で奇妙な印象を受けた。この展覧会で、写真とは違う表情を持つ絵画の可能性について再認識した。絵画には、リアリティーを映し出す写真にも優る要素を持っているように感じる。
 彼女の作品に映し出される人物の持つ表情は、作品の中に込めた作家の意図というよりも、作品の中に描かれている人物の内面を探りたい一心に駆られる。不気味とも言える印象は、首吊りの少女や三本脚の男などの被写体から来るものではなく、その全体図が秘める表情から来る。また、これらの被写体を不気味なものとして捉えることこそ、社会はこうあるべきだという常識に判断基準を置いている証拠である。彼女は、そういった社会の制約に抵抗しようとしたのかもしれない。鮮やかな色を使用したものから、炭で書かれた淡いものまで、様々な色を持つ作品の数々は、飽くことなく、考える機会を与えてくれた。


トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.tatsuoinagaki.com/mt/mt-tb.cgi/51

コメントする